「あ、明日、杉下先輩は我々の勝利の女神になります。いや、なってください! お願いします!」

「え、あ、はい」

いくら何んでも買い被り過ぎじゃない?

私、水泳部が見てる所じゃ、絶対泳がないようにしようっと。

「じゃ、僕達はこれで、失礼します!」

「あ、はい。お疲れさま」

「惠子ちゃん。俺の泳ぎを見たら、篠原から俺に乗り換えたくなるぜ」

などと、有り得ない事を田中君が言うと、誰よりも早く高山君が田中君の頭をポカッと叩いた。

「女神に向かって何て事言うんだ!」

さすがの田中君も先輩には逆らえず、「すいません」なんて言っていた。

「じゃ、また明日!」

「お疲れさまでした!」

3人は帰って行き、やっと紳君と二人きりになれた。