紳君はもう1本のペットボトルを持ち、キュッとフタを開けた。

「飲むか?」

「うん、ちょっとだけ…」

私はペットボトルを受け取り、小さいお口で一口だけ飲んだ。
味は微妙だけど、冷たくて喉越しが爽やかだった。

「ありがとう」

紳君に返すと、紳君はゴクゴクと豪快にスポーツ飲料を飲んだ。

うふ、紳君と間接キスしちゃった…

「なに?」

「え?」

「何、ニヤニヤしてんだよ?」

「ニヤニヤなんか、してないもん」

「してただろ? こんな顔して」

そう言って紳君は、目尻を下げ、口の端をニッと上げた。

初めて見た紳君の変顔に、思わず私はプッと吹き出してしまった。