「痛いよー」

「大丈夫かよ? ここか?」

紳君は、スカートの上から私の腿を優しく摩ってくれた。

「う、うん。でも、痛い…」

でも、嬉しい。

「歩けるか?」

「なんとか…」

「じゃあ、取り敢えず出よう? 怒られそうだから」

カウンターの図書委員の女子が、呆れた様子でこっちを見ていた。

図書室を出るとすぐに、一番気になっている事を聞く事にした。

「池谷さんは?」

「あいつは帰った」

よかった…

「あのね。紳君に話したい事があるの」

「俺も、おまえに聞きたい事がある」