小林君の時みたいに、紹介だけして『じゃあ』とあの子だけ帰って行くとは思えない。

あの子を入れて3人で帰るのは嫌だし、もし紳君に私が邪魔物扱いされたら、悲し過ぎる。


5分ほど経ってから、私はゆっくり帰り始めた。

昇降口で靴を履き、中庭を一人でトボトボ歩いていたら、「よお!」と男の子の声がして、私の肩に誰かの手が乗せられた。


咄嗟に紳君かと思って男の子を見上げたら、ニヤニヤ笑った田中君だった。