「私も応援していい?」

「それはまあ、好きにすれば?」

「やったー。あ、ヒラ教えてあげようか?」

「それはいい。俺はバックを極めるよ」

「そうだよね」

残念。接近するチャンスだったのに…

「ねえ。紳君のバック、見てみたいなあ」

「今か?」

「うん」

「いいけど、コースロープがないから、軽く流すだけだぞ」

「いいよ」


私はプールから出て、紳君がバックで泳ぐのをジーッと見た。

紳君の泳ぎは、ゆったりして、大きくて、力強くて、綺麗だった。

紳君は『才能がない』なんて言ってたけど、そんな事ないと思う。むしろ、才能ありありだと思う。

紳君、頑張ってね。応援するからね。