コトリと目の前に紅茶の入ったカップが置かれる。

「どっ…どうも…」

小さく頭を下げる。

「それで、今日はどうして我が探偵事務所に?」
向かいのソファに座って浅霧さんは訊いてきた。
「実は、友達がストーカー被害に遭っていて」


私は、聖蘭ちゃんから聞いた事を隠さずに浅霧さんに話した。



「なるほど」

私の話を聞き終えると、浅霧さんは満足そうに頷いた。

「僕にそのストーカーを見つけてほしいという事ですね」

「はい」

私は頷いた。

「分かりました。お引き受けします」

ニコリと優しく微笑む浅霧さん。

「ありがとうございます!」

良かった!

あっ…でも一つ問題が…
「あの…依頼料なんですけど……」

「はい。依頼料とストーカーを見つけ出した際の報酬はいただきます」

ですよね……

どうしよう……

「あの、依頼料とかは後払いじゃダメですか?
今、その…お小遣い前で……」

情けないけど。
だって高校生だもん。
バイトはしてないし……
ダメかな…

きっとダメだって言われる。

しかし、返って来た答えは

「いいですよ」

だった。