始まりの雷鳴−−−−
男との不思議な出来事から一時間後に帰宅。
玄関で靴を脱いで上がった。
いつもより大した距離は走っていなかったが、体は疲れ果てていた。
その時。
プルプルプル。
「うわっ!」
電話が鳴った。
「何でこんな時間に電話なんかくんだよ!
まだ六時だぞ」
唾を飲み込み、恐る恐る受話器を耳元に当てた。
「もしもし…
前田ですけど」
「昇一?」
「あっ!
社長??
おはようございます」
「おはよう。
こんな早くごめんな」
「いえ大丈夫ですよ。
どうしました?」
「おめでとう。
今日は免許証受け取る日なんだってな?」
「ありがとうございます。そうなんですよ」
「何だったら、今日は特別に休んでもいいぞ」
「えっ?」
「夕方から学校もあるだろうし、途中出勤しても短時間しか働けないからな」
「ですね…」
「皆には俺から伝えておくから」
「ありがとうございます」
「それじゃ〜明日からまたよろしく」
「はい、失礼します」
丁寧に受話器を置いた。