どこかで聞いたことのある声。

次から次へ降ってきては、ぼくを振り向かせる。



「だれだっけ?」



少し気になる。



『坊や‥っ』



泣いてるの?

なんで泣いてるの?



「うーん‥」



気になる。

後ろへと引き返して、確かめたい。


でも、目の前に広がるキレイな景色に触れたい。

心なしか、美味しそうな良い匂いもするんだ。



「妖精さんにも会えるかもしれないし‥」



妖精さんのはちみつ入れがあったってことは、きっと居るんだよね?



「妖精さんは、今のぼくみたいに飛べるんだよね?ふふ」



会ってみたかった。
おとぎばなしにしか出てこない、妖精さん。

こーんなにちっちゃいんだって。



「よし。会いに行こう」



ぼくは声のする真っ白な後ろじゃなくて、お花畑のあるキレイな前へと歩きだした。




すると




「ねぇ、そっちへ行っちゃだめだよ」


「うぇ?」



だぁれもいなかったはずなのに。

いつの間にか、真っ白とお花畑のちょうど真ん中に誰かがいたんだ。



それはそれは、

優しい声だった。