「烈様は裏で手を回し、私と凪を逃がす手筈を整えてくれた。そして私はあの日、凪を連れ皇楼から逃げ出した。それからは……凪、お前が知っているだろう」

父のその言葉に、昔の記憶が蘇る。

私は小さな頃から、色んな街を転々として生きて来た。

転校を何度も繰り返し、色んな街に移り住みながら。

……でもそれは、父の仕事の都合だと思っていた。

本当は一族に見つからない様に逃げ回っていた。