この話は人が人ではなくなった世界で、彼女を求め、彷徨う僕の懺悔。


 五年前に突然人を襲った病、心が無くなり、無感情、無関心、無責任になることから、人々は【愛の成れの果て】と呼んだ。


 誰が最初に言い出したかは、分からない。ただ、少なからず僕が気付いた時には、そう呼ばれていた。


 しかし【愛の成れの果て】とはよく言ったものだ。心が無くなっては、人を愛することが出来ないではないか。