「翔太はね、優秀な子でね」
「……」

「あの子には、将来いい大学に行ってほしいのよ」

「それで、今、受験勉強させてるんだけど」


「あの子ったら、最近ずっと帰りが遅いの。」



すると、
お母さんはあたしを見つめた。


「どうして遅いのか…わかるわよね?」


どうして遅いのか……


それは、間違いなく。


あたしのせい……


翔太くんは
学校が終わったあとに
いつも来てくれてた。



あたしのせい……



「あたしのせいです」


「そうよ」

そういって、
翔太くんのお母さんは
笑った。


「だから、もし、あなたが翔太のことを思うなら」

「ゴホンッ!…もう関わらないでくれ」




「はい。わかりました」



あたしのせい…

あたしのせいで、

翔太くんが大学に行けなくなったら。



駄目よ。


だから、


そうだね。