夏休み真っ只中の7月30日。
私はこの間ふざけ半分で受けた人間ドッグ的なやつの結果を聞くため病院に行っていた。
その日は人生で一番不幸で
一番幸福な日だった。
「柏木優芽さーん、1番の診察室へどうぞ。」
あたしの名前が呼ばれた。
あたしが行こうとすると、看護師さんに「お母さんだけでお願いします。」
と言った。
私は仕方なく待合室で待っている事になった。
ガチャ…
母が診察室に入って行った。
凄く、いやな予感がしていた………
数十分経って母が診察室から出てきた。
「優芽、身体の中にビー玉が入ってるからそれをとるために入院しなくちゃなんだって!お母さん、荷物持ってくるから病室で待っててくれる?」
そう言って母は笑った。
ビー玉って………お母さん、あたしもう16歳だよ?
ごまかさなくても分かるのに………
そう言いたかったけど、お母さんの腫れぼったい目を見たら言えなかった……
私は母が車で病室のベットで横になりながら天井をボーッと見つめていた。
自分が病気だという実感がわかなくて
(入学したばっかりなのにな…。)
何てのんきに考えていた。
『こら!!!これから検査でしょ!病室に戻りなさい!!』
誰かが看護師さんに怒鳴られてる声がした。
元気だなぁ〜
何の気力もなかった私は、特に気にしないで、ずっと横になっていた。
その時、
ガラガラ!!!
私の病室のドアが勢いよく開いた。
「ちょっとかくまって!!!」
パジャマ姿の男の子が疲れた様子で私に言ってきた。
何者かもわからなかったので、一応ソフトに断ることにした。
「戻ったほうが……………」
私が言い終わるより先にパジャマ姿の彼は私のベットの中に入ってきた。
「ちょ……!」
「ゴメンね!ちょっとの間失礼します。」
はぁ〜
何なのよ……
しばらくすると、
ガラガラ……
「えーと、優芽さん??ここに男の子来てない?」
看護師さんが私の病室をキョロキョロ見渡しながら言った。
妙に膨らんだベットには気付かれなかったみたい……
「き、来てません。」
私はドキドキしながら言った。
すると看護師さんは疑う様子もなく、「あら、そう?ごめんなさいね。」と言って出ていった。
「………行ったよ?」
私がそう伝えると、
ガバッ!!!
彼は布団を勢いよくめくり上げ顔を出した。
「ありがとう!!!まじ助かったわ〜!!!俺は田村優。ヨロシク!」
そう言って彼はニコッと笑った。
彼の笑った顔は今までに見たことがないくらい素敵で思わず見とれてしまったんだ。
これが私と優との出会い。
ねぇ、優は覚えてる?