どんよりと雲が空を覆っていた。今にも雨が降りそうな、しかし空はそれを躊躇っているかのようだった。




少女は一人あてもなくさ迷っていた。

瞳は虚ろでまるで生気がない。



砂ぼこりの舞う町を歩き続ける。辺りは人でごった返しているが誰も彼女を気にも止めない。

人に構う余裕のある者など誰もいないのだ。


肩がぶつかれば罵詈雑言をあびせられた。逆に何事も無かったかのように通りすぎる者もいる。



少女は感覚がもはや麻痺していた。どんな言葉を浴びせられようが何とも感じなかった。怖いとも、悔しいとも。

ただひたすら頼りない歩みを続ける。




ついに雨は降り始めた。


帰る家などないのだろう、寒さに震えながら何人かの子どもがボロボロの屋根下で雨宿りしている。

雨をしのぐ場を持つものは、あばら家やテントに急ぎ入る。





少女はさ迷い続けた。