今にもあたしは泣き出しそうになっていた。そんなときあたしを掴んでいた人が空を舞っていた
というより
殴り飛ばされている
「なななななんですか!?」
そこには真っ黒なニットの帽子にサングラス姿の男の人が立っていた
「逃げるぞ」
小声でいうその男性に少なからず不信感を持ったが、ヤクザ達よりはマシと判断して全速力で走った
「待てごらぁー!!!」
全速力で走っていたので最初のうちは追いかけてきていた人たちももう追いかけてきていない
「はぁはぁはぁはぁ…あのぉ…助けていただいてありがとうございました。」
そういって頭をさげるとその男性は頭にかぶっていたニット帽をあたしの頭にかぶせた
「寒いからねー。俺、一瀬光。あ、ひかるじゃなくてこうだからね」
いきなりのことに私は固まってしまっていた
「あれ?大丈夫?」
そういってあたしの顔の前で手をパタパタさせている
「あ…大丈夫です…。ちょっと色々びっくりしちゃってて…」
一歩前に進もうとしたあたしはグラッと目眩がして倒れてしまった