「人多いね―!伊織、麻理大丈夫?」
妃樺里が叫ぶ。
必死に歩かないとはぐれてしまいそうだ。
「大丈夫!!」
あたしは妃樺里に大きな声で返した。
「麻理は?」
あたしが後ろを振り向くと今まであたしと手を繋いでた麻理がいない。
「麻理!?」
あたしたちはいったん人混みをでて麻理に電話をかけた。
「出ない……」
あたしは泣きそうになるのを必死に堪えていた。
あたしのせいだ……
次に電話をかけたのは
「隼人…?麻理がいなくなっちゃった………」
多分鈴将に怒られるだろう。
「妃樺里?ここで隼人達待ってて?あたし先に探しに行くね!」
そう言って走り出した。