僕はこれが夢であると信じていた。 だいたい鏡の中に自分以外の顔が映っていて、しかもその鏡の中の人が死ぬほど美人で… なんてことはあるはずがない、絶対。 どうせもうすぐ目が覚めるだろう。 そう思いながらも彼女との会話に現を抜かす。 「彼方、これが夢だと思ってる?」 「えっ!?」 いきなり意表をついた彼女の言葉に僕は少しだけ動揺した。