「ねえ、もしかしてあそこ見てた?」

彼女がピンクに塗られた長い爪で指さしたのは
ファッション雑誌のコーナーだった。

何も言えず、黙っていると、彼女は続けて
笑いながら言った。

「ふふ、んなわけないよねぇ♪
 アオミドロにオシャレ系雑誌とか…
 あ、あれでしょ?月間微生物とか?
 そっち系だよねアオミドロならっ♪」

高圧的な話し方に、返事をする。

「…はい」

「やだーウケるー♪クロちゃんにも教え
 てあーげよ♪ほら、あいさつしなきゃでしょ?早く来いよ」

踵を返した白鳥に、うつむいてついて行く。
いつもどおりの、ことだ。


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