朝目を開くと、見慣れた天井が映った。

締め切られたカーテンを開くと、細い五月雨が
しとしとと降っている。度のきつい眼鏡をかける。

深い溜息は、なにも雨のせいだけではない。

―また、朝が、来てしまった。

のろのろと着替えを済ませ、階下に降りると
ダイニングテーブルの上に簡単な朝食と家の
鍵がぽつんと置いてあった。

緑間 梢(ミドリマ コズエ)は、TVもつけないまま
ゆっくりと、ほんの少しの食事を口に運ぶ。

憂鬱という言葉でしか表せないような
そんな、朝の光景。

低い唸りをあげて、携帯電話が突然震えた。

びくりと身体を反応させて、おそるおそる
新着メールの表示を開く。



「クリームパンと100%オレンジ・焼きそばパンと
 カツサンドとウーロン茶。遅れるな」





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