「お前にあいつは絶対ぇ渡さねえ。」

「フッ、どうだか。
ま、お前の意見も聞けたし、今日は帰るよ。じゃーねー。」


慎は帰って行った。

が、俺の横を通るときに囁いた言葉を俺は聞き逃さなかった。


『次、会うときは美雪の彼氏になってるから。』


俺は慎と美雪が幸せそうに笑い合ってるところを想像してみた。

・・・嫌だ。耐えらんねえ。

慎の隣で幸せになるくらいなら、俺の隣で不幸せになれよ。


「“次、会うときは美雪の彼氏”か。」


俺は心の中で呟いた。


『させねえよ。』