「あたしを馬鹿にするのは良いですけど、中村くんを馬鹿にするのはやめてください。あなたの彼氏なんでしょ?」


“中村くん”

そう俺のことを呼んだ美雪の顔は、すっげえ苦しそうだった。


「そうね・・・。祐真くん、今のは悪かったわ。」


そう言って顔を近づけ、ギリギリのところで止めた。


「これで許して。」

「・・・仲良いんだね。人前で2回もキスするなんて。」


キス?俺はコイツとキスなんてしてねえのに。

栗谷はクスッと笑った。

・・・そうか。美雪は俺らの真っ正面に立ってるからキスしてるように見えたんだ。


「じゃ、そろそろあたし帰るから。ばいばい祐・・・中村くん!」


美雪が後ろを向いたその時、強い風が吹いた。


「!」