-Yuma-

今日は夏祭りだ。俺は会場へと向かっていた。

“美雪に会えるかもしれない”という淡い希望を持って。

・・・あの時、美雪の告白に答えていたら俺等はどうなっていただろう。


「祐真くん、何考えてるの?」


俺の隣を歩いていたのは栗谷じゃなかったかもな。

なぜか俺は栗谷と夏祭りに行っている。(もちろん龍も一緒だ。)

龍は兄貴も誘ったけど“仕事がある”かなんかで来なかった。


「神田。あたし祐真くんと二人で回りたいからどっか行ってなさい。」

「了解しましたお嬢様。ごゆっくりお楽しみください。」


栗谷と二人か。ハッキリ言って嫌なんだけど。


「祐真くんこっち来て!」


そう言って俺の手を取り人気のないところへ連れ出した。