いつまでたっても帰ろうとしない僕に、


「慎くん?」


美雪は不安げに見てきた。・・・あの黒い目のままで。


「もしかして画鋲のこと気にしてる?
全然気にすることじゃないよ。たった10個入ってただけなんだから。」


笑いながら言った。

今、美雪は何を考えているんだろう?

怒っているのか、悲しんでいるのか、傷ついているのか、怖がっているのか。

全くわからない。