少女はゆっくりと屋上に上る

足取りは、しっかりしていた。
表情は、無表情。


―私は今日、自殺する。




私は死にたかった。
理由などない。
ただ死にたかっただけだ。


生まれてきてから、ずっと楽しいと思ったことはなかった。

いや、瞬間的にはあった。
それでも長い期間を見たら、とてもつまらない人生だった。


友達は少ない。
顔は不細工。
性格は最悪だった。

こんな人間、生きてて価値があるのか?


社会にも何も貢献していない。人にとって私はいらない存在だった。

死にたかった。
ずっと。

病気にならないかと期待した。

でもならない。


何かの事件に巻き込まれなかった。