抱きついてきた茉央の背中に手を回した希が、戸惑ったように俺の方を見る。
俺はそんな希と目を合わせ、一回小さく頷いた。
そして2人の側に行き、2人まとめて抱きしめた。
「…茉央、無理して背伸びすんなよ。ゆっくりお兄ちゃんになればいいんだから……な?」
2歳にしてはいい子すぎるような気がする茉央。
『お兄ちゃん』になる。
その言葉が、茉央を縛っていたのかもしれない。
「かーくん…」
「希も。わかってると思うけど、無理だけはするなよ?大事な時期なんだから…」
「…うん。」
その後も、俺はしばらく2人…いや、3人か…を抱きしめたまま、その温もりを感じていた。