『あれ誰?中山のこと呼んでたヤツ』と誰かが言った。

ああ、私やっぱり彼らに、彼女として認識さえされてなかったんだって気づいた。

『内緒』と全然泣きそうにない声で答える中山君。

それが悔しくて、声をあげた。

「泣いてないじゃない。中山君!」

そんな私に、真っ赤な髪して丹精な顔つきの黒田君が近づいて来て。

『あれで結構ヘコンでる。……だから、今日は諦めた方がいい』と小さく耳打ちした。