「中山君!中山君!」

それでも何度も名前を呼ぶ私を可哀相に思ったのか、中山君の傍の人が彼の肩を掴んで私の方へ無理やり向けてくれる。

でもやっぱり

「おいら、今、白川さんと話したら……きっと泣いてしまう」

と同じ事を繰り返す。

途切れ途切れに言葉を発しながら、私を見上げてニカッと笑う。

まるで泣きそうもない顔して。


そして色とりどりの中へ向かって再び歩き出してしまう。

まるで水が海に還るように、中山君もカラフルな集団に吸い込まれていってしまった。