少しだけ落ち着いた私が教室を見回すと、恵美が自分の席から私を見つめていた。

「……恵美」

私が口を開いた瞬間、恵美は私からスッと視線を外し、問題集を広げた。

そして二度と私を見なかった。

何も言わない恵美の後ろ姿。

その背中は誰よりも私を拒否している様に思えた。

恵美だけには話せば良かったかもしれない……。

けど、そんな事はもう後の祭り。

ああ、早くこの騒ぎが鎮まればいいのに……。

そうすればまた

時間がたてばまた

きっと恵美だって──