あっという間に椅子に座る華の周りに人だかりができた。

『はぁ?何これ?』
『サン……ヨウ、チュウ?って読むの?つかペンネーム虫?』
『え?虫?化石じゃない?』
『てか“恋の後先”?あり得ないよねぇ!?』

呆然と立ち尽くす私に華が振り返った。

「なんでサチこんなの持ってたの?あんた優等生止めたら、オタクになっちゃったの?あ、腐女子?」

ドキンと胸が跳ねた。

どうしよう。どうしよう。

ダサい優等生だなんて肩書きもう欲しくない。オタクなんてなおさら嫌!

いつもなら『華!あんたキツすぎ』と華を制してくれる恵美は今日は私をジッと見ているだけ。

私はひとり。

どうにか切り抜けなきゃ!どうにかしなきゃ!