「あ……ありがと、華」

私はこの動揺を悟られないように、なるべく自然に手を伸ばす。


神様、タスケテ──


「いーよ。真鍋が悪いんだし。……ていうか、これ何?え?」

いつも神様なんて信じてないのに、こんな時ばっかりすがろうとするから、きっと神様は私に愛想を尽かしたんだ。

「マジ?なにこの詩!」

華のはしゃいだ声が耳の中にこだまする。

私、終わった。これで終わりだ。

一番バレたくない人にバレた。

「ちょ、ちょっとぉ!マジ?マジうけるんだけどぉ?」

さらに盛り上がる華の声に人がワラワラと集まって行く。

それはまるでアスファルトの上に落ちた一粒の飴にたかるアリのよう。