その数日後、中山君から無理やり借りた先々月の『萌木』と書かれた極秘文集を、私は放課後を待ちきれずに昼休みの教室の隅で広げていた。

その日の朝、下駄箱で待ち合わせた中山君は

「これって極秘文書扱いなんだからね?他の人にバレると次号から貰えなくなっちゃうんだから。そこんとこよろしく」

ふざけながらもしっかりとそう念を押した。

結局フグだった私が出した結論は『萌木を読みたい』って事。

だって気になって仕方なかったのだ。

しかも島先生の言ってた“自分の目で見ろ”ってこういう事でしょう?

彼が好きなモノを見たい、知りたい。

あの日よりもずっと純粋な欲求が私の中に渦巻いていた。

だから一分でも早く中を見たくて。