そんなちょっと意地の悪い見方しか出来ない私に彼は気づかずに話し続けた。

「将来は作家になりたい人もいるのかもしれないよね」

私はこういう時、中山君が純粋とバカの境界線上を漂ってるような気がしてしまう。

「そんな本気の人っているのかなぁ?ただの部活なんじゃないの?」

そんな簡単に作家になれたら世話ないんだよ。いいとこ同人誌だってば。

だって文集名、“萌木”だよ?

時折頭の隅でチラつくピンクの封筒がさらに私を苛立たせる。

だいたいねぇ、そんな簡単になりたいものになれる世の中ならば、島先生は『教師なんざ辞めてやる』ってほざかなくなってるハズだし。

「白川さんってたまにすごい現実主義だよね」

中山君はそんな私に苦笑いしていた。