問題集を睨む私の前に座った中山君はあのピンクの封筒を嬉しそうに鞄にしまう。

「それ、なに?」

自分が想像してたよりも低い声に私自身が驚いてしまった。

「白川さん、怖いよ?」

「見せて?」

「ダメ!絶対ダメ!」

中山君が鞄を上にあげる。

「なんで!?気になる!」

「ダメ!絶対にダメです!恥ずかしいから!」

「『恥ずかしい』って余計に気になるじゃん!」

高く掲げられた鞄に手を伸ばす私に中山君は『大丈夫。ラブレターではありませんから!』と、ご機嫌に笑う。