ちょっとパニックに陥った私は急いで二人に背を向けるように椅子に座った。

私は気にしてませんって背中に大きく書きたい位に気になる。

実際は私の全神経が背中と耳に集まるような、そんな感じ。

聞いたら嫌な気分になるのに、聞かずにいられない。

背中で感じる二人は以前と同じように自然な雰囲気で、今さら何気ないふりして振り向く事さえできない。

「ああ、そういえば三上さん、あれはできたの?」

「うん。出来た。今度持ってくるから」

「ありがとう」

「うん」

さらに『あれ』とか『これ』の会話にも完全に置いて行かれてしまっている私。

胸に広がるのは敗北感とどす黒い気持ち。

三上さんが『じゃ、これで』と居なくなるまで、私はジッと問題集の一点を見つめる事しか出来なかった。