「それが分かったら白川さんに訊いてないよ~?」

「ってかさぁ、こんな事してたら全然進まないじゃん、勉強。ようは覚えりゃいいんだから!人間失格は太宰治!それだけ覚えてればいいんだから」

「うん。……でも、もう一回図書館で借りようかな」

でた。これだ。

文学史なんて内容なんてほぼ訊かれない。

プロレタリア文学って言ったら『小林多喜二、蟹工船』で、太宰治ときたら『斜陽、走れメロス、人間失格』。その他もろもろ、全部ひたすら覚えるだけ。

何も考えないで暗記しちゃえばいいのに。割り切ればいいのに。

ヤンキー全開の文学少年って……。不思議すぎ。

「どうせ中山君、図書館出入り禁止じゃないの?」

「違う、市の図書館で借りる」

「……あ、そうですか」

今日も来ましたね?