何が“良かった”のか、まるで分からない。

「でも、サチとならお似合いかも~。“ランク外の君”?なんて?って冗談だよ?」

ランク外……の?キミ?

もうまるで冗談になんて聞こえない。ケラケラ笑う華は得体の知れない未知の生物みたい。

てか華は男だけじゃなくて実は女も格付けしてんじゃない?
だとしたら私もランク外なんじゃ?

思わずそんな事が頭をよぎった。

「……華は相変わらずキツいね。あぁ、可愛いって得だねぇ」

褒め言葉も交えての軽い嫌味なんて、笑って流されるのが常。

時にはきわどくてスリリングな会話が高速で行き来する。

だから今回も『え~?なにそれ?それ嫌味ィ?』とか訊かれて『冗談だよ~』って答えるつもりだった。

なのに、その日の華はムッとした顔をして突っ掛かってきた。

「じゃ、サチは中山が告白してきたら付き合えんの?」

一瞬あのヤンキー全開の容姿を思い浮かべた。無理。即答だ。

けど悔しくて言えやしない。

「ねぇ!付き合うんだ?」

出来るわけないでしょ?あんたみたいにヤンキー好きじゃないんだから。

てかホント、何で今日に限ってそんなに突っ掛かってくるの?

恵美の『ねぇ、“付き合える”とか、あんた達微妙に中山君に失礼なんだけど』という呟きも見事にスルーだし。