私がズケズケと本音を言えるのもこの先生だけ。

意外と生徒にも好かれてたりする。

ついでに私は先生の訳分からない作品も好きだったりする。

「センセぇ、中山君ってどんな人なんだろう?どんな人だと思う?私、なんか中山君って読めないんだよね」

しばらくの沈黙の後『先生、聞いてる?』と振り返ったら、真顔で言われた。

「お前、バカだろ」

「なんで!?」

戸締りを終えた先生がドアに向かう。

「仮にも付き合ってる相手なんだろ?自分の目でしっかり見ろよ。それが相手に対する礼儀ってもんだろ。……お前に足りないのは案外それだったりするかもな。じゃ、送ってやれないけど、気をつけて帰れよ~」

のんびりした声が小さくなってパタン、とドアが閉まった。

「バカ、ねぇ……」

まあ、そうじゃないって事もないんだけど。

ブツブツ言いながら自分の絵の具箱を見つめる。