しばらくすると、椅子に座ったままで暇を持て余し始めた中山君がふざけ始める。

「“キミ色に染められていく僕”なんつって。上手い!さ、笑って笑って?」

私はちょっと笑ってから、思った事をそのまま口にした。たまには素直に。

だってさっき『格好良く描いてね』って中山君は言ったけど。恥ずかしくて『どうやって?』なんて答えちゃったけど。

格好良くしか見えないんだもん。本当は誰よりも格好良く見えるんだもん。

いつの間にか“ランク外のキミ”は“唯一のキミ”に。

だからたまには素直に──

「私も中山君の色に染められていきたいよ?で、いつか2人の間に同じ色ができたらいいね?」

いつまでも何の反応もないな、と思って画面から視線を移したら

そこには耳まで真っ赤になったキミがいた。