「……誰が書いたとか、詮索しちゃダメなんだよ?」

三上さんが軽く冗談めかして私を睨む。

「うん。しない。してない。詮索しない」

「……感想はたまには受け付けるけど?」

「うん、うん」

「……分かった。読者リストに入れとく。あ、でも発行部数を増やす事が次の号から出来ればそんなリストはいらないか。今日もこれから萌木の発行と配布体制についての会議なんだ。もう行かなきゃ」

彼女は膝下の長めのスカートをひるがえす。

「三上さん、ありがとう。……頑張ってね」

ピンと背筋伸ばして颯爽と歩いて行く後ろ姿は、彼女の決意の表れにも見えた。