中山君は落とした煙草を拾うとそのまま、階段に腰かけた。

そしてトントンと隣を叩く。

久しぶりの中山君の隣。

そよそよとそよぐ頼りなさげな風が隣から太陽の香りを運んでくる。

「白川さんがあの日『私と中山君はあまりにも違いすぎる』って言ったでしょ?あれがずっとひっかかってて」

「……うん」

「あれからもずっとその事考えてた。違いすぎるから白川さんは嫌なのかな?って。もし俺が特進の奴らみたいに白川さんと同じ教室の空気を吸って、同じ価値観を持って、同じものを見るヤツだったら……」

そんな事はないと思う。そんな事があるわけがない。

だって私は中山君の隣に居たいんだから。中山君がいいのだから。

キミじゃなきゃ──

「けど、そんなの無理じゃん?俺、バカだし……。傷つけるばっかだし。だからもうダメだって夏の終わりに思っちゃったけど……。実はもっと無理な事があったんだよね」

一言一句聞き漏らしたくなくて、隣の少し高い位置にある顔を仰ぎ見る。