段々落書きの増えていく普段は使わない階段を降りる。

展覧会出品用として考えて大きめのキャンバスに描いたため、一段降りる度にガンッ、とキャンバスの角が階段に当たり不便極まりない。

けど仕方ない。

これがなきゃ始まらないんだから。

2年6組というプレートを確認して、深呼吸してからそのドアを開ける。

とたんに注がれるカラフルな人達からの視線。背筋がピンと伸びて一瞬脳みそが凍った。

負けちゃダメ。

自分で自分を奮い立たせ、教室を見渡す。

いた。窓際の後ろから二番目。窓の方を向いて雑誌か何かを開いているような背中が見える。

陽を浴びて輝く大好きな黄色。

「な……中山君!」

中山君はビクンッ!と背中を震わせたかと思うと物凄い勢いで振り向いた。

その拍子に膝から雑誌がズサッと落ちる。