秋の風が吹き始めた頃、一枚の自画像が完成した。
時にはこれでもかって位に絵の具をのせ、次の日にはそれが気に入らなくてペインティングナイフで削ぎ落としたり。
色と色のせめぎ合いの中で生まれる形と色を精一杯自分の持てる力全部で引き出したつもりだ。
傍目には『これが人物だって事が分かるか分からないかが……』、と一抹の不安を口にする私に『芸術は爆発でいーじゃないの』と恵美は笑い飛ばしてくれた。
そして島先生の『もうここらが引き際だろ』と言う鶴の一声で自画像は終焉を迎えたのだ。
あとは、この油絵が乾いたら、だ。
私にはこれを見て貰いたい人がいる――
時にはこれでもかって位に絵の具をのせ、次の日にはそれが気に入らなくてペインティングナイフで削ぎ落としたり。
色と色のせめぎ合いの中で生まれる形と色を精一杯自分の持てる力全部で引き出したつもりだ。
傍目には『これが人物だって事が分かるか分からないかが……』、と一抹の不安を口にする私に『芸術は爆発でいーじゃないの』と恵美は笑い飛ばしてくれた。
そして島先生の『もうここらが引き際だろ』と言う鶴の一声で自画像は終焉を迎えたのだ。
あとは、この油絵が乾いたら、だ。
私にはこれを見て貰いたい人がいる――