ちゃんと言わなくちゃ。今度は失う前に。中山君みたいに失ってしまう前に。

今、心からの言葉をそのまま口に出そう。何も始まっていなかったこの関係を友情に変えて行きたい。

「ごめん。恵美ごめん」

恵美のポニーテールがビュンと勢い良く揺れて、いつもの大人っぽく涼しげな恵美の顔が正面から私を捕らえた。

頑張れ、私。

「あのね?恵美と話さない夏休みは寂しかった。恵美と会えない夏休みは、辛かった。だって、だって……いろんな事がたくさんあって。話したくて、相談したくて。どうしたらいいのか分かんない事がいっぱいあって。だけどこれ以上嫌われたくもなくて、怖くて──」

私の歪んだ視界に赤いチェックのハンカチが現れる。

「あ、りがと」