合わせなきゃ外されると思ってた。自分だけ毛色が違うと思っていた。

違っちゃダメだって、そればかりを気にして生きていた。

でも、それでもそのきっかけはあったんだよ。

「私にだけでも言ってくれたらって思ったし──」

「だってだって!恵美だって『あの油絵分からない』って言ったじゃん!私の一生懸命描いた油絵ッ!その一言で片付けたでしょ!」

自然と声が大きくなり、涙が溢れてきてしまう。

「ち、違うわよ!分からないから訊いたじゃない!話してくれたら良かったじゃん!」

ヒートアップした私につられて、珍しく恵美が口調をあらげる。

涙で歪んだ視界でそれでも強く恵美を見据えると、恵美もしっかりと私を見返してから深呼吸した。

そして

「何回も訊いたよね?私、あの絵の事」

と少し低めの声を出した。