「あのブランコが最後じゃ、俺達……、いや、俺がちょっと寂しいなって思って。おかげで今日は笑ってさよなら出来そうだ」

夏のブランコの私は顔さえあげられなかった。

「あ、誕生日って嘘なんだ。ごめんね?最後に我が儘通させてもらっちゃった。でも俺、もう白川さん困らせたりしない。傷つけたりしないよ」

中山君は一瞬下を向いて短い髪をかきあげた。

そして泣きそうな顔して笑ったんだ。

「色々ごめんね。それから、ありがとね、白川さん」

いつの間に出したのか煙草が口にくわえられていて、しばらく黄色の百円ライターを見つめていた彼がシュッと火を灯した。

その光と煙は私と中山君の間に一瞬にして見えない壁を作り上げる。もう、何も言えない。

中山君はもう──