暴走が終わって、中山君はすぐに私を家に送ってくれた。

『え?中山もう帰んの?早くねぇ?まだ走るだろ?』と言う声に『時間も時間だから。ちょっと、彼女送ってくるだけ。また戻ってくるよ?』と答えながら。

私の家までは本当にすぐだった。

もっと遠くに……出来れば北海道ぐらい遠くに住んでいたいって本気で思ってしまった。


別れ際、ヘルメットを受け取った中山君はエンジンを切る。

途端に静寂が訪れ、ポリポリと頭をかく。

「白川さん、ありがとね。俺の我儘に付き合わせてごめんね?」

「そんな事ないよ?私も楽しかっ──」

私の答えをフッと笑って遮る。

「無理しなくていいって。手ぇ、震えたままじゃん」

「それは──」

「俺、結構いろいろ考えたんだけど、この夏休み。……やっぱ無理なのかなって。“俺と白川さんじゃ違いすぎる”って──」

私は、終わりは突然にやってくるって……この時初めて知った。