『白川さん?あの、げげげ……』

電話越しに懐かしい声を聞いたのは、自宅と学校との往復ばかりだった夏休みも終わろうとする頃だった。

「ゲゲゲ?鬼太郎?」

『うん。そう』

「そんな訳ないじゃん」

『うん。そんな訳はないね』

中山君の久しぶりの優しい声に目眩がした。

『元気?って言おうと思ってた』

「うん。そうだろうなって思ってた」

ヘヘへ、と笑う中山君はきっと頭をポリポリかいてるに違いない。

「どうしたの?何かあったの?」

不思議と穏やかな気持ちだった。

もしかしたら、中山君が緊張してるのが分かったから、私は逆に落ち着いてしまったのかもしれない。