学校で見かける中山君は色んな意味で有名人。

いつも、カラフルで派手な髪して制服着崩した人達に囲まれていて

その真ん中でゲラゲラ笑っていて、たまにすごい下品で。

中山君の周りは毎日がお祭り騒ぎで。

私には関わりのない人だと思っていた。

この学校という小さな社会の中でさえ、ちっぽけな私の存在なんて知らないと思っていた。

なのになぜか告白されちゃって、不本意ながらも彼女になっちゃって。


“彼女”に対してだって、なんかもっと野性味溢れた感じで、エロくて下品で、

下手すりゃ俺様全開な感じで、『俺の彼女』って肩を抱くような、

そんな人だと思っていた。そんなイメージしかなかった。

なのに──

なのに調子狂う。

私を『白川さん』と呼んで、私の前では自分を『僕』と言う。

二面性どこの話じゃない。まるで別人。ギャップありすぎ。

そんな事を考えながら描いた部分は見事に浮き足立った状態で、『ナイフで削ろう』と筆をおいた時、ポケットの中でケータイが震えた。