絵の具をのせていくキャンバスは私のモノ。私の世界。

そして少しずつ見えてくる自分。


私はずっとずっと怖かったんだ。

『あ、中山救った優等生ちゃんだぁ』

クラスにいまいち馴染めなかった私は、その一言に完全にびびってしまった。


『新入生代表挨拶があったから黒なんだよ。また茶色にするよ』と笑った。急いで茶髪にした。


お姉ちゃんみたいな本物の優等生にもなれなかった。

三高みたいなヤンキー高校の特別進学クラスにすがるように入り、なんとか名目を保ってきたつもりだった。

でも、いつも

どこかでそれからも逃げたいと思っていた。