「もう、お前諦めろよ。本当に捨てたって言ったろ?諦めろ。ほれッ。俺様の製作の邪魔すんじゃねぇ」

お決まりの台詞で準備室を追い出されてしまった。

これまで幾度となく準備室や作品棚を探したけれど、やっぱりどこにもあの絵はなかった。

結局、本当に捨てられてしまったらしい私の絵。中山君にもう一度見せたかったあの絵。

でも『捨てて』と泣いたのは私。だから、ホント仕方ない。

第二美術室のドアを開け、全身の映る大きさの鏡を取り出して立てる。

イーゼル、油絵の具、スケッチブック、鉛筆をそれぞれ準備する。

そして最後に真っ白なキャンバスをイーゼルに乗せた。