「中山君、終業式の日、美術室来たんだ。それで『白川さんのあの油絵ないの?』って。『なんか見たくなっちゃって』って泣きそうに笑うから──」
一瞬だけ歪んだ顔をすぐにいつもの無表情の裏に隠して三上さんは淡々と喋り続ける。
「探したけど分からないから『ない』って答えた。またあんな絵を描いてくれたらいいのにって言ってた。中山君って本当に白川さんの絵が好きみたいだね。私には油絵は分かんないけどさ。
で、白川さん、あの絵どこにやっちゃったの?全国で佳作だったヤツ」
「…………」
どこだろう。
誰も理解してくれないと思ったあの日、『もう二度と見たくないから、捨てて』と島先生に渡したきりだ。
一瞬だけ歪んだ顔をすぐにいつもの無表情の裏に隠して三上さんは淡々と喋り続ける。
「探したけど分からないから『ない』って答えた。またあんな絵を描いてくれたらいいのにって言ってた。中山君って本当に白川さんの絵が好きみたいだね。私には油絵は分かんないけどさ。
で、白川さん、あの絵どこにやっちゃったの?全国で佳作だったヤツ」
「…………」
どこだろう。
誰も理解してくれないと思ったあの日、『もう二度と見たくないから、捨てて』と島先生に渡したきりだ。